大阪教育大学の光永さんの Arduino でオシロスコープ を基にESP32に移植し、320x240のタッチパネル付き2.8インチLCDで使えるように変更して、WEB表示機能を追加しました。まだ不完全ですがPCやスマートフォンの大きな画面で波形を確認できます。 基本的に ESP32で2CH WEBオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator のLCD版です。
まだ基本的に波形が表示できるようにしただけなので、ユーザーインターフェースのためにLCD表示とタクトスイッチは残してあります。出来ればWEB画面に操作コントロールを追加してLCDとタクトスイッチ無しで設定変更できるようにしたいと思っています。
波形データの送信にはWebSocketを使いました。WebSocketの通信は手抜きでEndian処理をしていません。そのためBig EndianのCPUでは正しく波形が表示できません。いまどきそんなCPUは少ないと思いますしPentiumやARM系のAndroidであれば使えますので大丈夫でしょう。波形の描画にはHTML5のCanvasを使っています。オシロスコープ機能はマルチコアのCORE1で処理し、WiFi機能はCORE0で処理するようにしています。
画面が大きくなって振幅方向の分解能が増えたためにADCの非線形性が目立つようになったので、簡単に2区間の直線近似で補正を加えました。ESP32の個体毎に微調整が必要かもしれません。サンプル数は300ポイントです。
開発環境は
Arduino IDE 1.8.19 + Arduino core for the ESP32 2.0.3です。
この環境ではAnalogRead()が使えるのですがオーバーヘッドが多過ぎるようで遅いので、adc1_get_raw()とadc2_get_raw()を使うようにしました。それでもまだ遅いです。
I2Sを使って500kspsまで出来るようにしてみました。
時間軸拡大機能を追加しました。10us/divは250kspsの10倍拡大、20us/divは5倍拡大になります。拡大にはsin(x)/xによる補間をしています。(2024.03.13 update)
最新版はGitHubに置いてあります
https://github.com/siliconvalley4066/ESP32TFTOscilloscope
ESP32TFTGOscillo109.zip 2024.03.13 update
TFT LCDのライブラリはTFT_eSPIを使用します。Arduino IDEのライブラリマネージャーから検索してインストールしてカスタマイズする必要があります。 GitHubのhttps://github.com/siliconvalley4066/ESP32TFTOscilloscopeを参照してください。
WebTask.inoの
const char* ssid = "XXXX";
const char* pass = "YYYY";
に使用するWiFiアクセスポイントのssidとpasswordをXXXXとYYYYに記入する必要があります。ソースコードを少し変更すればAPモードにすることも可能です。
WebSocketsのライブラリはライブラリマネージャーから検索できるものではなく、以下を使いました。
Links2004/arduinoWebSockets
10:1プローブを使うために入力インピーダンスを1Mohmに近付けたいので次のような入力回路にしました。OLEDは使わないので配線する必要はありません。
WEB表示機能だけを簡単に試すならADC入力のIO34とIO35に直列に10kohm程度の抵抗を付けるだけでも動作出来ます。ただしDCモードだけになります。現状ではPulse GeneratorやDDSの周波数を設定出来なくなります。
先ず起動する前にArduino IDEのシリアルモニターを開いておきます。プログラムが開始してWiFiアクセスポイントに接続成功したらIPアドレスを取得してシリアルモニタに表示します。そのIPアドレスをWebブラウザのアドレスバーに入力すればWEBオシロに接続できるはずです。
例えばシリアルモニタに、
WiFi Connected. IP = 192.168.1.128
と表示されたら、Webブラウザのアドレスバーに192.168.1.128と入力します。
LCDのタッチパネルで操作出来ます。また、タクトスイッチで画面上の項目を選択して操作することもできます。WEB表示では画面右側のコントロールで操作できます。ただし、タッチパネルやタクトスイッチで変更した内容はWEB表示の波形には反映されますが、設定値の表示はリロードするまで反映されません。
タクトスイッチでの操作方法は、UpボタンとDownボタンでメニュー内の項目を移動します。それぞれの項目の位置でRightボタンかLeftボタンを押すとその項目の値を変更したりOn/Offの切り替えをします。
ESP32とOLEDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generatorと同じです。
ESP32とOLEDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generatorと同じです。
ESP32とOLEDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generatorと同じです。
機能 | 内容 |
---|---|
入力チャンネル数 | 2 |
入力結合 | DC and AC |
入力電圧範囲 | 0 to 3.3V |
入力インピーダンス | 1Mohm |
電圧レンジ(volts/div) | 1V, 0.5V, 0.2V, 0.1V, 50mV |
時間レンジ(time/div) | 10s, 5s, 2s, 1s, 0.5s, 0.2s, 0.1s, 50ms, 20ms, 10ms, 5ms, 2ms,
(samples only 1 channel) 1ms, 500us, 200us, 100us, 20us, 10us (250ksps) |
トリガモード | Auto, Normal, Scan, Once |
トリガ極性 | rise/fall edge |
トリガソース | CH1 or CH2 |
トリガレベル調整 | 画面内位置を上下に調整 |
外部トリガ | No |
波形位置調整 | 上下に調整可能 |
波形反転表示 | Yes |
電圧測定表示 | Max, Average, Min (AC入力でもDCレベルを表示) |
周波数&Duty測定 | Yes |
電圧・周波数・Duty表示 | 表示・非表示切り替え |
文字表示 | 文字サイズ固定 |
FFT | Yes |
A/D変換分解能 | 12bits |
サンプル数 | 300samples/channel 12bit/sampleを電圧レンジに応じて0から200又は400にスケーリングして表示 |
表示解像度 | LCD: 300x200 dots, 水平25dots/div 垂直25dots/div WEB: 300x400 dots, 水平25dots/div 垂直50dots/div |
等価時間サンプリング | No |
設定状態EEPROM保存 | Yes |
操作方法 | タッチパネル及びタクトスイッチ4個 (Left, Right, Down, Up) または 5方向スイッチ (Left, Right, Down, Up) |
プリトリガー | No |
ホールドオフ機能 | No |
時間軸拡大表示 | x5 (20us/div), x10 (10us/div) |
X-Y表示 | No |
Pulse Generator | 4.768Hz to 40MHz 約3.3Vpp方形波 Duty ratio可変 |
Function Generator | 8bit DAC DDS 0.01Hz to 518.79Hz(実用は200Hzまで) 約3.3Vpp
23波形 sine, saw, revsaw, triangle, rectangle, 20% pulse, 10% pulse, 5% pulse, 1dot pulse, noise, gaussian noise, ECG, sinc5, sinc10, sinc20, sine 2 harmonic, sine 3 harmonic, chopped sine, sine abs, trapezoid, step2, step4, chainsaw 8bit DAC Cosine Wave Generator 129.70Hzから129.70Hzステップで200kHz程度まで。 |
周波数カウンタ | No |
PCへのデータ転送 | No |
SDカードへの波形保存 | No |