大阪教育大学の光永さんの Arduino でオシロスコープ は古い128x64のLCDディスプレイ用に作られたものですが、それを基に128x64の1.3インチOLEDで使えるように変更して ArduinoとOLEDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator・周波数カウンタ を作ったので、それを基にSTM32F103C8T6に移植し、320x240のタッチパネル付き2.8インチLCDで使えるように変更しました。
開発環境は
Arduino IDE 1.8.19 + STM32F1xx/GD32F1xx boards by stm32duino version 2022.9.26です。
Arduino IDEの環境設定で追加のボードマネージャのURLに
http://dan.drown.org/stm32duino/package_STM32duino_index.json
を追加すると、ボードマネージャで"stm"を検索すれば出てきます。
bootloaderが使えるように出来なかったので、シリアルポートでアップロードしています。 Microsoft StoreからインストールしたArduino IDEではだめでしたが、Arduino IDEのホームページのダウンロード版をインストールし直したらbootloaderが使えるようになりました。(2024.01.04 update)
この環境ではAnalogRead()が使えるので単純にループしてサンプリングしていますが、単一チャンネルで500kspsまで出来ています。そのうちにDMAを使って単一チャンネルで1Msps以上が出来るようにしたいと思います。
DMAの使い方が分かったので、2チャンネルでも2.57Mspsまで出来るようになりました。(2023.11.27 update)
Version 1.03からはFast Interleaved modeを使って1チャンネルで5.14Mspsまで出来るようになりました。(2024.02.21 update)
これで最高サンプリング速度と2チャンネルという点で同じCPUを使ったDSO-138を超えたと思います。その他の色々な機能の面では劣るところがたくさんありますが。
最新版はGitHubに置いてあります
https://github.com/siliconvalley4066/STM32F103C8T6TFTOscilloscope
STM32TFTOscillo107.zip 2024.04.16 update
TFT LCDのライブラリは何故かTFT_eSPIではエラーが出るのでAdafruit_ILI9341とXPT2046_Touchscreenを使用します。Arduino IDEのライブラリマネージャーから検索してインストールしてください。
その後、高速描画できるAdafruit_ILI9341_STMに切り替えました。詳細は後述します。(2024.01.04 update)
FFTにはarduinoFFT by Enrique Condesライブラリを使っていますが、2024年3月にVersion 2.0.0に更新されて呼び出し方法が変わってしまったのでVersion1.04で対応しました。ただし、Adafruit_GFX_AS.hとAdafruit_ILI9341_STM.hのswapマクロとarduinoFFTのswap関数が競合するようになったので、arduinoFFTライブラリソースコードのarduinoFFT.hの先頭に#undef swapを書き加える必要があります。 (2024.03.08 update)
10:1プローブを使うために入力インピーダンスを1Mohmに近付けたいので、2Mohmの抵抗を使ってみると、STM32のADCの入力インピーダンスが低いようで、信号源インピーダンスが高いと波形が乱れます。高入力インピーダンスをあきらめて100kohmの抵抗を使うことで入力インピーダンスは約50kohmになります。
Raspberry Pi Pico WとTFTタッチスクリーンLCDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator・周波数カウンタと同じです。
時間軸の拡大は時間軸レンジがハイライトされてCyanになっている状態で時間軸レンジをタップすると、x1 -> x2 -> x5 -> x10 -> x1 と順に変化します。拡大時には右側に倍率を表示します。拡大にはsin(x)/xによる補間をしています。(2024.03.20 update)
(2024.01.04 added)
danさんのstm32duinoで最初はAdafruit_GFX_ASでコンパイルエラーが出るので、Adafruit_GFX_ASとAdafruit_ILI9341_STMの組み合わせを諦めて普通のAdafruit_GFXとAdafruit_ILI9341を使いました。この場合はタッチスクリーンとSPIバスを共有しても問題ありませんでした。Adafruit_GFX_AS.hが古いようで、高速描画のAdafruit_GFX_AS.hを使うためにはSTM32用ライブラリのAdafruit_GFX_AS.cppの62行目辺りに
#define textsize textsize_x
を追記する必要がありました。これはArduino_STM32との比較で分かりました。
Arduino_STM32の方はSPI.hでコンパイルエラーが出ました。SPI.hの294行目辺りの
void transfer(uint8_t * trx_buf, uint32 len) { transfer((const uint8_t *)trx_buf, trx_buf, len); }
を
void transfer(uint8_t * trx_buf, size_t len) { transfer((const uint8_t *)trx_buf, trx_buf, len); }
のように変更して回避しています。
これでコンパイルエラーは無くなりましたが、タッチスクリーンとSPIバスを共有していると表示がぐちゃぐちゃになります。タッチスクリーンを読みだした後にSPIバスの設定をし直すようにして回避することが出来ました。これは
次はSTM32ボードを積極的に使ていきたい(23) グラフィック液晶(4)
を参考にしました。
機能 | 内容 |
---|---|
入力チャンネル数 | 2 |
入力結合 | DC and AC |
入力電圧範囲 | 0 to 3.3V |
入力インピーダンス | 不明。50kohm程度 |
電圧レンジ(volts/div) | 1V, 0.5V, 0.2V, 0.1V, 50mV |
時間レンジ(time/div) | 10s, 5s, 2s, 1s, 0.5s, 0.2s, 0.1s, 50ms, 20ms, 10ms, 5ms, 2ms, 1ms, 500us, 200us, 94us, 57us, 18us, 9.7us (2.57Msps), (1 channel) 4.9us (5.14Msps) |
トリガモード | Auto, Normal, Scan |
トリガ極性 | rise/fall edge |
トリガソース | CH1 or CH2 |
トリガレベル調整 | 画面内位置を上下に調整 |
外部トリガ | No |
波形位置調整 | 上下に調整可能 |
波形反転表示 | Yes |
電圧測定表示 | Max, Average, Min (AC入力でもDCレベルを表示) |
周波数&Duty測定 | Yes |
電圧・周波数・Duty表示 | 表示・非表示切り替え |
文字表示 | 文字サイズ大小選択可能 |
FFT | Yes |
A/D変換分解能 | 12bits |
サンプル数 | 300samples/channel 12bit/sampleを電圧レンジに応じて0から200にスケーリングして表示 |
表示解像度 | LCD: 300x200 dots, 水平25dots/div 垂直25dots/div |
等価時間サンプリング | No |
設定状態EEPROM保存 | Yes |
操作方法 | タッチパネル及び5方向スイッチ (Left, Right, Down, Up) |
プリトリガー | No |
ホールドオフ機能 | No |
時間軸拡大表示 | x2, x5, x10 sin(x)/x補間 |
X-Y表示 | No |
Pulse Generator | 0.01676Hz to 36MHz 約3.3Vpp方形波 Duty ratio可変 |
Function Generator | 8bit PWM DDS 0.01Hz to 9999.99Hz(実用は400Hzまで) 約3.3Vpp
23波形 sine, saw, revsaw, triangle, rectangle, 20% pulse, 10% pulse, 5% pulse, 1dot pulse, noise, gaussian noise, ECG, sinc5, sinc10, sinc20, sine 2 harmonic, sine 3 harmonic, chopped sine, sine abs, trapezoid, step2, step4, chainsaw |
周波数カウンタ | No |
PCへのデータ転送 | No |
SDカードへの波形保存 | No |