STM32F103C8T6と0.96-inch 80x160 LCDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator

更新日 2024.04.23 登録日 2024.04.16

大阪教育大学の光永さんの Arduino でオシロスコープ は古い128x64のLCDディスプレイ用に作られたものですが、それを基にSTM32F103C8T6で128x64の1.3インチOLEDで使えるように変更して STM32F103C8T6とOLEDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator と320x240のLCD用の STM32F103C8T6とTFTタッチスクリーンLCDで2CHオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator を作ったので、それを基に0.96-inch 80x160 LCDで使えるようにしてみました。このディスプレイはAmazonだと1000円くらいしますが、AliExpressだと送料込みで300円くらいで買えるので気軽に使えます。OLED版よりも少し広い範囲を表示できますが、解像度が高くなった分文字表示が小さくなりました。その代わりカラーで表示出来るので、2チャンネルの区別が分かりやすくなりました。

画面レイアウトとGUIはOLED版、波形描画方法は古い波形を消してから描画するTFT版を元にしています

開発環境は Arduino IDE 1.8.19 + STM32F1xx/GD32F1xx boards by stm32duino version 2022.9.26です。
Arduino IDEの環境設定で追加のボードマネージャのURLに
http://dan.drown.org/stm32duino/package_STM32duino_index.json
を追加すると、ボードマネージャで"stm"を検索すれば出てきます。

低速のサンプリングではAnalogRead()が使って単純にループしてサンプリングしています。 DMAを使って、2チャンネルでも2.57Mspsまで出来、Fast Interleaved modeを使って1チャンネルで5.14Mspsまで出来ます。

ソースコード

最新版はGitHubに置いてあります
https://github.com/siliconvalley4066/STM32F103C8T6IPSOscilloscope

STM32IPSOscillo100.zip

LCDのドライバはAdafruit_ST7735_and_ST7789_Libraryです。インストールされていない場合はライブラリマネージャーから検索してインストールしてください。

回路図

10:1プローブを使うために入力インピーダンスを1Mohmに近付けたいので、2Mohmの抵抗を使ってみました。高速サンプリング時にはSTM32のADCの入力インピーダンスが1kohm以下に低くなるので、Rail-to-railのオペアンプMC6022を入れることにしました。ブレッドボードで動作確認をするだけなら入力回路は省略しても構わないでしょう。
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操作方法

Raspberry Pi Pico WとOLEDで2CH WEBオシロスコープ・Pulse generator・Function Generator・周波数カウンタと同じです。

時間軸の拡大は、Page 1の4番目つまり時間軸レンジの下でreal/DMAと表示されている所でRightボタンとLeftボタンで x1,x2,x5,x10 が選択出来ます。拡大にはsin(x)/xによる補間をしています。

Pulse Generatorについて

PWMで発生できるパルスをほぼ全て出せるようにしました。72MHzを1/2から1/65536まで設定できます。分周比は1/1から1/65536まで使います。発生できる周波数は0.01676Hzから36MHzまでになります。周波数自体を設定するのではなく、発生できる上または下の周波数へ設定を変更して、その設定で発生される周波数を計算して表示します。周波数の高い方は36MHz, 24MHz, 18MHz, 14.4MHz, 12MHzのように飛び飛びの値になる。Duty cycleも実現可能な値が限られていて50%も不可能な場合がある。周波数の低い側の分解能は1/65536になり細かく設定できます。インタラプトは発生しません。

PWM DDS Function Generatorについて

Lab3 - Laboratory for Experimental Computer Science を流用させていただきました。波形データはその他色々な所から集めました。周波数の設定と波形の選択だけがオリジナルです。周波数の分解能は取り敢えず0.01Hzにしました。インタラプト処理が入るので速いサンプリング時にオシロスコープの波形が間延びするようなら明示的にOFFにした方が良い。サンプリング周波数は35.15625kHzにしました。メモリに余裕があるので用意した23波形すべてを使えます。
リンク先が消えているようなので同じ内容を探してみました。 Arduino Sinewave Generator

Known Bugs

  • 波形表示が所々途切れることがある。
  • 原理的に周波数測定には画面上で2周期以上が必要。
  • トリガモードのOneがうまく機能しない。
  • トリガが掛からない状態でトリガモードをNormにすると、トリガ検出から抜け出せなくなり操作不能になる。トリガが掛かる入力を入れれば復帰する。
  • 2ch間でレベル差が大きい部分には相互干渉が発生することがある。
  • 入力の保護抵抗を省略したのでオペアンプが壊れやすい。直列に100kohm程度の抵抗を入れておいた方が良いが垂直方向のゲインの調整が必要。
  • Pulse generatorはCPUクロックを分周していて1/2から整数分の1の周波数を発生する。周波数の高い方は36MHz, 24MHz, 18MHz, 14.4MHz, 12MHzのように飛び飛びの値になる。Duty cycleも実現可能な値が限られていて50%も不可能な場合がある。周波数の低い側の分解能は1/65536になる。
  • これ単体で2チャンネル入力にPulse generatorとFunction Generatorの出力を入れて波形観測して遊べます。
  • Flash memoryを使ってEEPROMをシミュレートするライブラリの制約で256回程セーブすると再フォーマットする必要があるので保存した設定が消えてしまう。 (2024.04.23 update)
  • 改良可能性

  • 取り込みサンプル数を増やして表示位置を移動できるようにしてみたい。
  • 時間軸拡大表示。2倍、5倍、10倍にできますが位置は波形の先頭に固定です。
  • Hold Off調整機能を入れた方が便利かもしれない。
  • PCとのUSBシリアル通信でHTMLとjavaスクリプトで表示できる pico-RP2040-oscilloscope というものがあるので同じようなことを試してみたい。九工大のArduino簡易オシロスコープのProcessingの代りにWEBブラウザを使うようなものです。 (2024.04.23 update)
  • 機能概要

    機能 内容
    入力チャンネル数 2
    入力結合 DC and AC
    入力電圧範囲 0 to 3.3V
    入力インピーダンス 1Mohm
    電圧レンジ(volts/div) 1V, 0.5V, 0.2V, 0.1V, 50mV
    時間レンジ(time/div) 10s, 5s, 2s, 1s, 0.5s, 0.2s, 0.1s, 50ms, 20ms, 10ms, 5ms, 2ms, 1ms, 500us, 200us, 100us, 57us, 23us, 11us, 3.9us (2.57Msps), (1 channel) 1.9us (5.14Msps)
    トリガモード Auto, Normal, Scan
    トリガ極性 rise/fall edge
    トリガソース CH1 or CH2
    トリガレベル調整 画面内位置を上下に調整
    外部トリガ No
    波形位置調整 上下に調整可能
    波形反転表示 Yes
    電圧測定表示 Max, Average, Min (AC入力でもDCレベルを表示)
    周波数&Duty測定 Yes
    電圧・周波数・Duty表示 表示・非表示切り替え
    文字表示 文字サイズ固定
    FFT Yes
    A/D変換分解能 12bits
    サンプル数 160samples/channel (8bits/channel) 12bit/sampleを電圧レンジに応じて7bitにスケーリングして表示
    表示解像度 160x80 dots, 10dots/div
    等価時間サンプリング No
    設定状態EEPROM保存 Yes
    操作方法 5方向スイッチ (Left, Right, Down, Up)
    プリトリガー No
    ホールドオフ機能 No
    時間軸拡大表示 x2, x5, x10 sin(x)/x補間
    X-Y表示 No
    Pulse Generator 0.01676Hz to 36MHz 約3.3Vpp方形波 Duty ratio可変
    Function Generator 8bit PWM DDS 0.01Hz to 9999.99Hz(実用は400Hzまで) 約3.3Vpp
    23波形 sine, saw, revsaw, triangle, rectangle, 20% pulse, 10% pulse, 5% pulse, 1dot pulse, noise, gaussian noise, ECG, sinc5, sinc10, sinc20, sine 2 harmonic, sine 3 harmonic, chopped sine, sine abs, trapezoid, step2, step4, chainsaw
    周波数カウンタ No
    PCへのデータ転送 No
    SDカードへの波形保存 No

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